庭に梅の木がある。


引っ越してきたときに、
父の友人からもらったもので、
庭でどんどん大きくなった。


樹齢もけっこう長いのだと思う。


年々、
つける花の数は減っていき、
実もならなくなった。


庭は手入れをしなくては、
草が生い茂ってしまい、
毎年、暮れには植木屋を呼んで、
庭の手入れをしてもらっていた。


しかし、
手入れをされているはずが、
梅は花をつけることはなかった。


でも、
僕には梅が何故咲かないのか、
うすうす感づいてはいた。


どうすればいいのかも、
知っているような気がしていた。


どうしてかって、
庭を毎日見ていて、
植物のことか好きだったからだ。


でも、
庭師ではないし、
木を伐採する自信もなかった。


そんなある日、
思うことあって、
自分で庭を手入れしようと思った。


自分が知っていることを実行しようと思ったのだ。


庭に生える雑草も、
庭師は表向きにきれいにするには優れていても、
木や草の本質はわかっていないのではないかと思った。


実際、
庭師に、樹齢20年のブルーベリーの木を根こそぎ切られたし、
蝋梅も切られた。


「なーんだ素人か、なら自分がやった方がいい」


と、思ったのである。


雑草も根っこから取って、
大きくなった椿の木枝を切って風の通りをよくした。


鬱蒼とした黒松もチェーンソーでバリバリ切った。


二本生えて、トゲを出して喧嘩していたキンカンの木も、
新しく生えた一本を根っこから切った。
トゲで喧嘩を始めてからは、
一つも実をつけなかった。
おそらく5年以上はゆうに実をつけていない。


梅の木は、
いつも庭を見ていたので、
どの枝を切ればいいのか、
梅の方から教えてくれた。
(1年間では切り切れないので、僕は4年間かけて切っていくことにした)


そうすると、
黒松の隙間から日光が入って、金木犀が大きくなった。


風が抜けるから、蚊が少なくなった。


キンカンはトゲをつけなくなり、伐採から二年後には実をつけるようになった。


梅は、初めての伐採以後、毎年花も実もなった。


今年も花は大量だったようだけど、ゴールデンウイークに実家に帰った時に、
梅の元気の無さに心配した。


去年は何キロも梅の実をつけた。


このように、
植物ってのは不思議で、
とっても素直。


何年もゆっくり生きているから、
こちらが優しくしてあげると、
木の方から、同じ優しさで返してくれる。


人間もこんな風であったらいいのにな・・・。
と、いつも思う。


あの梅のような、優しさを僕は求めているけど、
人間である以上は、僕らには無理なんだと思う。


だから、
僕は植物が好き。
いつもスケッチする。


それは仕事にもつながるから、
僕はこの仕事が好きなのかもしれない。


今は少しスランプで、仕事が効率よくいかない。
焦るけど、
たまには植物の気持ちも大切に思う。


故に、
ぼちぼち焦らずに、
マイペースでいきましょう。


※ヤンバルの森では、
いじゅの花がそこらじゅうで咲いていました。
梅雨を知らせる、雨を呼ぶ花と云われています。
野生のジャスミンもありましたので、
少しだけ分けてもらい、現在家で育てています。